生成AIは業務を大幅に効率化してくれる一方で、使い方を誤ると情報漏洩や著作権トラブルに直結します。ルールのないAI利用は、交通ルールのない道路を走るようなもの。スピードは出せても、事故のリスクは格段に高まります。
この記事では、AI利用規程が必要な理由から、盛り込むべき必須項目、テンプレートを使った効率的な整備方法まで、岐阜・関市の中小企業の視点でわかりやすく解説します。
AI利用規程とは?なぜ今、中小企業に必要なのか
AI利用規程とは、社員が業務で生成AIを使う際のルールを明文化した社内規程のことです。「どのツールを使っていいか」「何を入力してはいけないか」「生成された文章はどう扱うか」といった判断基準を、会社として定めるものです。
総務省「令和7年版 情報通信白書」によると、日本企業の業務における生成AI利用率は55.2%(2024年度)に達しているという調査結果が出ています。一方で、社内ガイドラインの整備が追いついていない企業も多いという傾向が、複数の調査から見えてきます。
つまり「使っているのにルールがない」という状態の企業が、決して珍しくないのが現状です。
生成AIの活用方針策定状況(企業規模別(日本))

(出典)総務省(2025)「国内外における最新の情報通信技術の研究開発及びデジタル活用の動向に関する調査研究」
また、国の動向としても、経済産業省・総務省は「AI事業者ガイドライン」を策定・公表し、企業が自主的にAIの適切な利用体制を整えることを推奨しています(最新版は2026年3月公表。詳細は経済産業省の公式サイトをご確認ください)。法的な義務ではありませんが、政府が「自社で取り組んでほしい」と明確に示しているのです。
AI利用規程は「守りのルール」ではなく、安心してAIを活用するための攻めの土台です。ルールがあるからこそ、社員が安心してAIを使い、生産性が上がります。
知っておきたい3つのリスク
「うちは小さな会社だから大丈夫」と思っていませんか?実は、企業規模に関わらず生成AI利用にはリスクが伴います。特に岐阜・関市の製造業・刃物産業など、独自の技術や取引先情報を持つ企業こそ、注意が必要です。
① 情報漏洩リスク
ChatGPTなどの無料版・個人版では、入力したデータがAIの学習に使われる可能性があります。社員が悪意なくとも、見積書の内容・顧客の個人情報・取引先との議事録をそのまま貼り付けてしまうケースは実際に起きています。
海外の大手電機メーカーでは、社員がソースコードや会議の内容を生成AIに入力し、機密情報が外部に漏れたとして問題になった事例も報じられています。
特に関市・岐阜の製造業では、製造ノウハウ・設計図面・特許出願前の技術情報が社内に存在します。これらをAIに入力することは、競合他社への情報流出に直結しかねません。
さらに深刻なのが「シャドーAI」の問題です。会社として公式にAIを導入していなくても、社員が個人のアカウントでChatGPTを使っているケースは珍しくありません。ルールがなければ、会社はその実態すら把握できず、管理対象外のままデータが外部に送られてしまいます。
② 著作権リスク
AIが生成したコンテンツが、既存の著作物に似てしまうケースがあります。業務での利用は私的使用にはあたらないため、生成物を社外に公開・配布する際には著作権侵害のリスクが生じる可能性があります(詳細は著作権の専門家または文化庁の公式情報をご確認ください)。
特定の作家名や作品名をプロンプトに含めてコンテンツを生成し、それをホームページや提案書に使うといった行為は、リスクをさらに高めます。日本の著作権法ではAI生成物の権利帰属についても議論が続いており、現時点では慎重な対応が求められます。
③ ハルシネーション・コンプライアンス違反リスク
生成AIは「もっともらしい誤情報」を出力することがあります(これを「ハルシネーション」と呼びます)。AIが自信満々に書いた文章でも、数値や事実が間違っていることは珍しくありません。
この内容をそのまま取引先への提案書や行政への報告書に使ってしまうと、信頼失墜やコンプライアンス違反につながるリスクがあります。AI生成物は「必ず人間が内容を確認する」というルールが欠かせません。
AI利用規程に盛り込む必須7項目
「規程を作るなんて、法律の専門家に頼まないといけないの?」と思う方もいるかもしれません。でも最初からパーフェクトな規程は必要ありません。A4用紙1〜2枚のシンプルなものから始めても十分です。まず7割の完成度で公開し、運用しながら改善していく、という進め方が現実的です。
以下に、AI利用規程に必ず盛り込みたい7つの項目を紹介します。
- ① 目的と適用範囲:この規程が何のためにあるのか、誰に適用されるのか(正社員・パート・業務委託先など)、対象となるAIツールは何かを明示します。
- ② 利用可能なAIツールの指定:会社として承認したツールだけを使えるように指定します。無料版・個人アカウントは原則禁止とし、セキュリティ設定が確認できる法人版・エンタープライズ版の利用を推奨します。
- ③ 入力禁止情報リスト:「これは絶対に入力しない」情報を具体的にリスト化します。例:顧客の氏名・住所・電話番号などの個人情報、未公開の財務データ、取引先との契約書、製造ノウハウ・設計図面、人事情報など。
- ④ 生成物の取り扱いルール:AIが生成した文章や画像を社外に公開・配布する前には、ファクトチェックと著作権確認を必ず行うことを明記します。「AI生成物をそのまま使わない」という意識の定着が重要です。
- ⑤ 承認プロセス・相談窓口:新しいAIツールを使いたいときや、ルールに迷ったときの問い合わせ先(担当者・部署)を明記します。情報システム部門がない場合は、総務・経理などが窓口を担うケースが多いです。
- ⑥ 違反時の対応フロー:ルール違反があった場合の報告手順・対応フローを定めます。「罰則ありき」ではなく、「問題が起きたときに会社として適切に対処できる」体制づくりが目的です。
- ⑦ 定期見直しサイクル:AI技術は急速に進化しています。半年〜1年に1回を目安に規程を見直す仕組みを盛り込みましょう。
整備のステップとしては、①現状把握(社員が今どんなAIツールを使っているか確認)→ ②リスク評価(自社で特に気をつけるべき情報を洗い出す)→ ③ドラフト作成(テンプレートをベースにカスタマイズ)→ ④社内周知・説明会 → ⑤定期見直し、という流れが効果的です。
岐阜県のDX支援策を上手に活用しよう
「自社だけで整備するのは難しい…」と感じたときは、岐阜県の公的支援を活用する方法があります。
岐阜県DX推進コンソーシアム(ソフトピアジャパンが中心)は、県内企業のAI・DX推進を積極的にサポートしています。セミナーや研修会が年に複数回開催されており、AI利用に関する基礎知識を学べる機会も提供されています。また、ワーキンググループ活動への補助金など、DX推進を後押しする支援策も用意されています(補助金の詳細・最新情報は岐阜県DX推進コンソーシアムの公式サイトにてご確認ください)。
IT導入補助金など国の補助金との併用を検討する場合も、最新の公式情報や支援機関への相談を通じて、自社に合った活用方法を探ってみてください。
地域の支援機関をうまく活用することで、AI利用規程整備のハードルを大きく下げられます。「岐阜の企業だから不利」ではなく、むしろ地域に根ざした支援を受けながら、着実に体制を整えていけるのです。
まとめ
AI利用規程の整備は、難しく考えすぎる必要はありません。まずは「社員がAIに入力してはいけない情報のリスト」をA4用紙1枚にまとめて共有するところから始めてみてください。それだけでも、情報漏洩リスクを大きく減らせます。
大切なのは、完璧な規程を一度で作ることではなく、「ルールがある状態」を早く作り、運用しながら育てていくことです。AI利用規程は守りのルールではなく、社員が安心してAIを活用するための攻めの土台です。
- ✅ 生成AIの業務利用が広まっているのに、社内ルールがまだない
- ✅ 何から手をつければいいかわからない
- ✅ 自社の業種に合ったテンプレートが欲しい
- ✅ 社員への説明会も含めてサポートしてほしい
こうしたお悩みをお持ちの岐阜・関市の中小企業の方は、ぜひらっこワークスにご相談ください。AI利用規程の整備から社内説明のサポートまで、貴社の規模や業種に合わせた形でお手伝いします。「まず話を聞いてみたい」という段階からでも、お気軽にどうぞ。

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