正直に言う。私はSNSを途中でやめたことがある。
「SNSのプロ」として、クライアントの発信を支援している私が、こんなことを言うのは少し恥ずかしい。
でも、これは本当の話だ。
Instagramを始めては止め、Twitterを頑張っては消え、ノートを書こうとしてドラフトのまま放置する。そういうことを、何度も繰り返してきた。
クライアントには「毎日投稿しましょう」「発信は継続が命です」なんてアドバイスをしながら、自分の画面は何週間も更新されていない——そんな時期があった。
この記事は、その矛盾と正面から向き合った記録だ。「SNSが続かない」と悩んでいる人に、少しでも届けばいいと思って書く。
なぜ続けられなかったのか
① 完璧主義という罠
私は文章を書き始めると、どうしても何度も書き直してしまう。「もっといい表現があるはず」「この投稿、刺さるかな」——気づいたら1時間が経っていて、結局投稿できていない。
これ、特にSNSに詳しい人ほど陥りやすい罠だと思う。「いい発信とは何か」を知っているがゆえに、ハードルが上がってしまう。
② 反応への恐れ
クライアントのアカウントなら、私は裏方だ。数字が伸びなくても「次の戦略を考えましょう」と冷静に分析できる。でも自分の発信となると話が違う。反応がないのは、「私自身が面白くない」と言われているような気がして、妙にしんどかった。
③ 目的がフワフワしていた
「認知を広げたい」「仕事につなげたい」——そんな言葉は頭にあった。でも、それは目的ではなく、願望だった。誰に届けたいのか、何を伝えたいのかが決まっていなかった。目的がないまま発信を続けるのは、行き先を決めずに走り続けるようなものだ。
他人は支援できるのに、自分はできない——このパラドックス
クライアントの発信は続けられる。でも自分のことになると手が止まる。なぜか、しばらく考えた。
答えはシンプルだった。クライアントの発信には「届けたい人の顔」が見えていた。
製造業の社長のSNSを支援するとき、私の頭の中には「この投稿を読んで、入社を決める若者がいる」というイメージがある。だから動ける。誰かのために書くから、続けられる。
自分の発信には、その「誰か」がいなかった。「認知を広げたい」という自分の都合しかなかった。それが、続かなかった本当の理由だったと気づいた。
続けるためのたった一つの条件——「誰かの顔」を思い浮かべること
「SNSを続けるコツは何ですか?」と聞かれたら、今の私はこう答える。
投稿する前に、一人の顔を思い浮かべてください。
「この発信を読んで、ちょっとホッとしてほしい人」「これを見て、一歩踏み出してほしい人」——それは友人でも、過去の自分でも、理想のクライアントでもいい。ただ一人、具体的な「誰か」を思い浮かべるだけでいい。
その顔が浮かぶと、不思議と言葉が出てくる。完璧じゃなくていいと思える。反応がなくても、「あの人に届いていればいい」と思える。
私がいま発信を続けられているのも、「SNSに悩む社長の顔」が、いつも頭の片隅にあるからだと思っている。岐阜の、製造業の、不器用だけど誠実な経営者たち。その人たちに届けたくて、今日もキーボードを叩いている。
SNSが続かないのは、意志の問題じゃない。設計の問題だ。
「私はSNSが向いていないんです」と言う人に、私は「そんなことはない」と言いたい。
続かないのは、あなたが弱いからじゃない。続けられる設計になっていないだけだ。
私は、自分が続けられなかった経験があるから、その設計の問題がよくわかる。プロだったのに続けられなかった、という事実が、今の私の一番の武器かもしれない。
SNSは、続けた人が勝つ。でも続けるのに、根性はいらない。ただ、届けたい誰かの顔が、一枚あればいい。
あなたの頭の中に、その顔はありますか?


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